魔々勇々第12話「ミネルヴァという少女がおりました」 感想・考察

魔々勇々はサブタイトル自体洒落ているが、その出し方もおもしろい。正直私は他の漫画ではサブタイトルをあまり意識せず読み飛ばしてしまうことが多いが、魔々勇々では毎話サブタイトルに注目している。
今週話では、ミネルヴァの「昔々あるところに!!」というセリフに続く形でのタイトルコール「ミネルヴァという少女がおりました」。こんな形のは見たことがなく、流れるようにタイトルが印象づけられ読んだ瞬間鳥肌がたった。

ミネルヴァがラルフレッドを蹴り飛ばすときのセリフ「火の用心」が、炎使いの敵に向けた言葉として最高。蹴り飛ばされたラルフレッドの軌跡がコマを割る演出もおもしろい。
意識(フォーカス)をずらさせる紋章術「綺羅綺羅星」は効果はやはりおもしろく、ミネルヴァの使い方もうまい。
ラルフレッドが自分で炎の足枷を切ってしまうコマでは、自然と星に目が行ってしまって、まるで自分もミネルヴァの紋章術にかかったようだった。
「・・・うん 勝てない」と相手との実力差をすぐに把握し、冷静に判断して捕捉から逃亡へと作戦を切り替えるミネルヴァが好き。

紋章術〝華火燕焔〟
ネーミングセンスが神。紋章術の名前はどれもかっこいい。
「ここがお前の墓場」のコマでは、ラルフレッドの威圧させられるような気迫が半端ない。

ここで一つ予想したい。ラルフレッドの世界の魔王はエスカバ。11話のシルエットの目が似ている。髪の外はねが若干違う気もするが、ミネルヴァ戦ではエスカバも髪が少し乱れている。
ラルフは魔王軍と協定を結んだが、魔王は裏切った。エスカバもコルレオたちを裏切った。
エスカバにとってラルフの炎は有利に働きそうだ。コルレオとの戦いでは、ライターで辺りを燃やし利用していた。
今後ラルフとエスカバが再度対峙する展開が来るかな。

ミネルヴァの世界では1000年前から人がいない。
ということは、ミネルヴァの世界の勇者も今後登場しないのか。どの世界にも勇者と魔王は1人ずついるものだと思ってた。あれ??勇者と魔王の一対の法則はどうなるんだ???
ミネルヴァの世界では魔人と人との争いがないから、アイドルやCDといった文化や科学技術が発達しているのではないだろうか。逆に、エスカバやエリシアの世界では争いが続いているため遅れている。
人がいなくなって魔人の血が濃くなった。人がいなくなる前は魔人と人の間に混血の子供が生まれることはよくあったのか?その子供は人?魔人?角はどうなる?コルレオたちの世界に混血はいるのか?
人がいた昔は魔人の平均身長が15cm以上低かったそう。ということは、人との混血により平均身長が下がっていた、つまり魔人本来は人より身長が高いことになる。人と魔人の違いは角があるかどうかくらいで、身体的有利不利はないと思っていたが、どうやら違うようだ。
そもそも、人と魔人は対立しているのだから交わることはほとんどないはず。それなら、コルレオの世界も平和になったのは18年前だから混血はほとんどいないのか。けど、人と魔人に身長差は見られない、???。もともと大昔では、人と魔人は友好的に共存していのか、、

ラルフレッドは勇者というだけで初登場時から偉そうにしていて、あまり好きになれなかった。だが、元の世界でのラルフレッドの態度は当然かもしれない。ラルフレッドの世界は、命の取り合いに慣れてしまうような過酷な世界。その世界で紋章術を使えるのは勇者と魔王だけならば、人側にとって勇者は絶対的な存在。
勇者が絶対的な権限をもち傲慢になるのも仕方がないし、その世界の人々がそれを受け入れるのも当然かも。

ミネルヴァの髪色は母親譲り。
前話まで左の角がないことを気にしていたが、ただ髪で隠れていただけっぽい。

ミネルヴァの過去。
ミネルヴァ1人の足元のコマで、母に捨てられてしまうかもしれないというミネルヴァの不安や寂しさが感じられる分、母がミネルヴァに寄り添うコマではより一層温かい気持ちになる。
そして、母の慰めの言葉に「・・・うん!!」と返事をする幼少期のミネルヴァ可愛すぎる。それなのに「3日後母は私を売った」で切ない気持ちが込み上げきたのだが、それも束の間「私はグレた!!」笑。ここの2コマのテンポの良さに加えて、グレたときの格好や雰囲気が面白すぎる。バイクや旗には紋章術由来の星があしらわれている。そういえば髪飾りも星。

「あ、すみません遅刻しましたごめんなさい」と素直に謝る気弱な様子やクラスメイト(?)に噂されたり膝を抱えて不安にしているミネルヴァは今のミネルヴァとは違う印象。グレたりアイドルになったりして今のミネルヴァになったんだな。

ミネルヴァの回想が切ない。「一度自分を好いた者に見限られるのが怖かった 小さい頃を思い出して一週間で5時間しか寝られなかった」。この前後も含めてこういう心の声が林先生うますぎる。めちゃくちゃ感情移入してしまう。母にもファンにも見限られたことのある過去を知ると10話のセリフが胸にくる。

ミネルヴァは寝ているときに、抱き枕か何かを抱いている。10話では、コルレオに抱きついていて「私何か抱いていないと寝られない」と言っていたが、不安や寂しい気持ちからだったのか。何回か読んで初めて気づいた。こういう発見は気づけると嬉しい。

ミネルヴァの敗北。
ミネルヴァの世界では勇者や人はいなかったから、彼女は所詮エンタメの格闘しかしてこなかった。一方で魔人と「命の取り合い」に慣れているラルフレッドが、ミネルヴァより強いのは納得。「元いた世界が違いすぎる」。
ミネルヴァの紋章術はエスカバ戦では結構強いと思ったが、「脅威無し」とみなされるくらいの強さの能力でラルフレッドにはほとんど通用しなかったようだ。「穴も多い」と指摘されたが、実際エスカバも掴めば関係ないと言っていた。

ただ、ミネルヴァが負けた要因は環境や能力だけではないと思う。10話でミネルヴァは「お前には強さが足りない!!」とコルレオに言っているが、強さのルビは愛。これはミネルヴァ自身にも当てはまることではないだろうか。ミネルヴァは愛があればもっと強くなるはず。気持ちのいい場所を手に入れて欲しい。誰かを愛して愛されてほしい。
ミネルヴァ好きです。

コルレオの覚醒。
ミネルヴァの元に駆けつけたコルレオ。新しい能力を得ていた。エヴァンが使用していた斬撃だ。
コルレオー!!かっこいいぞ!ジャンプの主人公って感じがする。現れたときに涙を浮かべてるのはコルレオらしい。
コルレオの能力はダメージ軽減ではなく治癒。炎の中を通るのにはそれ相応の痛みが伴う。それでも臆せず駆けつけた。コルレオは紛れもなく勇者だ。
ミネルヴァも少し気持ちを取り戻した表情をしている。捧げてきた無償の愛が少し帰ってきたのではないだろうか。

今までの予想通り、コルレオはエヴァンが使っていた能力を使えるようになっていくようだ。
エヴァンが使っていた能力は、浮遊、斬撃、治癒、炎、圧縮(?)、空間転移。これらをコルレオも使えるよになると考えられる。
今まではグリシャに別世界の勇者魔王を元の世界に戻させると思っていたが、もしかするとコルレオの紋章術でそれが可能になり魔々勇々の時代を終わらせるのかもしれない。

今更かもしれないが、
ごうごうりきりき
あんあんえいえい
かかえんえん
紋章術の名前の同じ音を繰り返すのは魔々勇々に合わせられているのではないか?
そしてコルレオの紋章術の名前が魔々勇々かもと個人的には思う。突拍子のない予想ではあるが、コルレオの紋章術は複数の能力をまとめて魔々勇々と言うのではないだろうか?もちろん、魔々勇々とは一つの世界に複数の勇者魔王が存在する時代のことを指すのはわかっている。しかし、その時代のきっかけはエヴァンの紋章術、つまり今のコルレオの紋章術。紋章術には固有の能力が一つあるが、コルレオには複数の能力があるため、今までの紋章術と同じように命名することはできないはず。どの紋章術も凝った名前なのだから、主人公コルレオの紋章術の名前にも何かあるはず。コルレオの紋章術の名前が明かされるのが楽しみだ。

まとめ
サブタイ通りミネルヴァの過去が深掘りされた回だった。アイドルとして戦闘でも日常でも余裕があってエリシアに対してふざけたりしていたのも好きだったが、今回の切ない過去ゆえの今のミネルヴァということを知って、より彼女のことが好きになった。
次回の覚醒したコルレオの活躍にワクワクしている。

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